この季節がやってきました!青空フェスタ。
青空フェスタは、神楽坂商店街振興組合が運営する一大イベント。
神楽坂の人気店からちょっと敷居の高いお店まで、約60店が屋台になり登場します。
自慢の料理を食べ歩ける青空フェスタは、神楽坂グルメを満喫する大チャンス。
今年の青空フェスタで、私が推したいのは宝龍。
宝龍は1952年創業、71年目をむかえる町中華。
正統派の丁寧な美味しさが魅力で、私が今最もハマっているお店です。
今回は特別に、3代目の田上さんに貴重なお話を伺うことができました。
青空フェスタの名物メニュー、ディナー料理の裏側までたっぷりと!
神楽坂で70年もの間、宝龍が愛され続ける理由とは?その魅力に迫ります。
青空フェスタの開催日時
青空フェスタは年に2回開催され、2023年は5月21日・10月1日に決定しています。
時間は昼12:30~18:00まで。雨天の場合、各店店内での販売になります。
飲食店だけでなく、スーパーや雑貨店も出店し、たくさんのお楽しみがありますよ。
青空フェスタへの行き方
青空フェスタは東西線・神楽坂駅~神楽坂上交差点の区間で行われます。
いわゆる「神楽坂上」で、約300mの間にびっしりと屋台が並びます。
私のおすすめ宝龍は、店舗の目の前で出店します。
青空フェスタで食べれるもの
宝龍が青空フェスタで販売するのは、ジャンボ焼売・肉団子・春巻き・メンマ・ザーサイ。
どれもお店を代表する人気メニューです。
今回は厨房まで入らせて頂き、貴重なシーンをたっぷり見せて頂きました!
ジャンボ焼売
ジャンボ焼売はもう絶対に食べてほしい、宝龍の名物メニューです。
ただ大きいだけでない、噛むたびに広がる肉の旨味、もちもちとダイナミックな食感が魅力。
その秘密は「もち豚」。臭みのない、柔らかな肉質が特徴のブランド豚。
「もち豚でないと、この味は出せないんです」と田上さん。
粗挽よりも粗い挽肉を使うことで、みっちりと密度の高い焼売が生まれます。
味つけは塩胡椒・砂糖と、至ってシンプル。
少しの砂糖を加えることで、ジューシーさだけでなくコクが生まれるそうです。
もち豚の甘み風味を生かすため、他の材料は長ネギ・玉ねぎ・片栗粉のみ。
卵を加えるお店もありますが、宝龍ではシンプルな食材によって主役のもち豚を引き立てます。
同店ファンとしては、つなぎが入っているのは意外でした。
宝龍の焼売は、つなぎを感じないほど肉感がすごいからです。
片栗粉を程よくブレンドすることで、もち豚の旨味を逃がさず、あのダイナミックな肉感が生まれるのですね。
いよいよ焼売を包んでいきますが、ここでジャンボたる所以が分かります。
皮いっぱいにタネを広げる田上さん。
一般的な焼売は20~30gほどですが、宝龍はなんと50g!
宝龍で焼売を食べると「普通の倍はあるよな」と思っていましたが、その感覚は的中でした。
焼売を作るお姿は、なんともリズミカル・・・!
手の甲と四本指で、チャッチャチャッチャと包んでいきます。
動画の通り、手でギュッと握れるほど、たっぷりのお肉が入っているんですよ。
なんともリズミカル🫢🎶
— 神楽坂グルメたぬき (@tanuki_gourmet) 2023年5月6日
あっという間に100個完成。
親子3代にわたる職人技を見せて頂きました。
本当にお見事でした🫢#たぬき初めてのインタビュー pic.twitter.com/ykE2HEAaEP
およそ100個の焼売を、わずか30分で作りあげる田上さん。伝統芸ともいえる職人技で、本当にお見事でした。
ジャンボ焼売は、1952年の創業時から変わらない製法。
3代目の田上さんが生まれて初めて食べた焼売こそ、このジャンボ焼売なのです。
親子3代にわたり継承し、70年愛される焼売は伝統の味であり、おふくろの味でもあるのです。
田上さんにとってジャンボ焼売は絶対に守りたいもの、正しく継いでいくという想いを感じました。
強火でグツグツ、蒸すこと15分。蒸したての焼売は最&高!
何度食べても、初めて頂いた時の「スゴイ!」という純粋な驚きが蘇ります。
お肉はムチムチもちもちとした弾力で、メインディッシュと言える食べ応え。
もち豚のポテンシャルの高さ、香味野菜の心地よい風味を感じられます。
特別な調味料は使わず、塩胡椒・砂糖だけで作ったと思えないほど、美味しさが口いっぱいに広がります。
ジャンボ焼売は通常1個160円ですが、青空フェスタではちょっとお得。
賞味期限は冷蔵庫で4日ほど。日持ちするのでお土産にも良いですね。
お腹がすいた時のお守りとして、冷凍庫に忍ばせておくのもアリ。
3個入り | 420円 |
5個入り | 700円 |
10個入り | 1,400円 |
青空の下で、70年愛される伝統のジャンボ焼売をパクパクとお楽しみください。
肉団子
肉団子は夜限定メニューですが、青空フェスタではお昼から食べられます。
もち豚をたっぷり使った肉団子は、弾ける美味さがクセになる。
今回は10個入り(ディナーのデフォルト量)を作って頂きました。
肉団子の食材は、もち豚・卵・にんにくのみ。これまたシンプル!
10個につき、もち豚を250gと贅沢に使います。
田上さんが捏ねていくと、もち豚はだんだんペースト状になり、目でも分かる柔らかさ。
肉団子は、まんまるの可愛い形が特徴的。
コロコロ転がして丸めるのかと思いきや、手でお肉をすくって、指の圧力だけで「丸」を生み出すというプロ技。
手直しせず、一発でまんまるの団子が生まれる光景はなんとも爽快でした。
青空フェスタ当日は、ご家族2人でひたすら手で丸め、作り続けるという・・・。
ちなみに2022年は肉団子60kgを仕込み、夕方前に完売したそうです。
こんがりと揚がったら、次は味つけ。
鍋を着火した田上さん、ラーメン用のスープをジュワーッ!
鶏と豚の出汁でとったラーメンスープ、さらに秘伝のタレを加えることで、肉団子の旨味をさらに引き立てます。
早速頂くと、カリッとした表面にトロトロあんが絡みつき、食感のコントラストがたまらない。
お肉はギュッと詰まって柔らかく、口当たりはなめらか。
もち豚の旨味が広がり、鶏豚のラーメンスープによってただの甘辛ではない奥深さがあります。
揚げたことを忘れてしまうほど、重たくないのが不思議。その秘密は良質な豚を使い、しっかりと油を切るなどの丁寧な処理にありそうです。
青空の下で、ほっぺに「丸」を作って食べ歩くもよし、お家で白飯と食べるもよし。
多めに買って、明日のお弁当に...なんて最高の楽しみ方です。
肉団子の日持ちは3日。丸の数だけ、楽しみ方が広がります。
5個入り | 700円 |
10個入り | 1,400円 |
さらにさらに!田上さん秘伝のアレンジメニューはサンドイッチ。
ふわふわの柔らかいパンに、肉団子とレタスを挟んで頂いたら、まぁ~至福でした。
春巻き
私が初めて宝龍の春巻きを食べた時、自ずと疑問が浮かびました。
「何でこんなに美味しいの?」
田上さんに率直に聞いてみると、どうやらその答えは具材と揚げ方にあるようです。
春巻きの具材はえび・挽肉・干し椎茸・たけのこを使用。
食べ応えがでるよう野菜は大きめにカットして、皮に包んだらいったん冷凍。
最初は高温、そのあと低温に切り替えて、じっくりと時間をかけて揚げていきます。
以前テイクアウトした際、2時間経ってもサクサクだったのは、揚げ方に秘密がありそう。
具材をたっぷり包み、こんもり膨らんだ春巻きは、誰もが心躍るビジュアル。
えび・挽肉・干し椎茸・たけのこの四重奏は、豊満な旨味汁に。
香ばしい皮に守られて、一口目から美味しいエキスがジュワッ。
たけのこのコリコリ食感、椎茸の風味がアクセントになり、たまらない美味しさです。
メンマ、ザーサイ
メンマもザーサイも、味つけは完全に自家製。
醤油と砂糖でたけのこを甘辛く煮たメンマは、箸休めになる穏やかな味が特徴。
取材中、ザーサイだけをテイクアウトする根強いファンもいらっしゃいました。
田上さんおすすめのアレンジレシピは、ザーサイを細かく切ってモヤシと炒める。忙しい日の晩ごはんやおつまみにもピッタリです。
青空フェスタでは、それぞれ1袋400円で販売されます!
以上、青空フェスタの5品のご紹介でした。
70年にわたる伝統のおいしさを、ぜひ青空の下で楽しんでくださいね。
ディナーで存分に味わおう
青空フェスタで絶品を楽しんだら、きっと「お店にも行ってみたい!」と思うはず。
やはり本領発揮はディナーです。
ディナーでは約90種のメニューがあり、いろいろ頼んでも3,000円にはおさまりそうな良心価格。
ディナーでは、腕によりをかけたメインディッシュがずらり。
たとえば手作りの甜面醤を使った回鍋肉、ふわふわ衣の海老チリは、お昼には出せない魅惑の品。
お一人様に嬉しい夜定食は、13種と充実。
1,000円以下の定食もあり、普段使いの夕飯として重宝できます。
コスパ重視の方にはコースがおすすめです。
5品付きで税込2,000円という奇跡のコスパ。
ドリンクはほとんどが550円と手頃です。
ビールや焼酎、ハイボールやカクテルも一通りあるので、会社の飲み会にもぴったり。
今回はディナーの中から、2品を作って頂きました。
暑い夏に嬉しい「ピリ辛もやし」は580円。
もやしとニラ、人参、きくらげを混ぜ、豆板醤でサッと和えた一品。すぐに出るので、一杯目のおともにぴったりです。
さっそく頂くと、あー!うまい!w。
豆板醤は舌を刺激しすぎないクリアな辛さで、みんなが食べやすいテイスト。
暑い日だったので、お酢のサッパリ感とシャキシャキもやしが体に染みました。
宝龍では他にも、豆腐サラダや棒棒鶏、きゅうりの豆板醤和えなどヘルシーな前菜が多数。
帰る前に軽く一杯やりたい方、ヘルシーにしたい外食女子のお腹も満たしてくれますよ。
夜限定のシーフード「海老とブロッコリーのマヨネーズ炒め」は1,130円。
定番だからこそ、自分の知っている海老マヨを遥かに超える美味しさです。
海老はすみやかに下処理をして、強い炎で一気に調理。
味つけはマヨネーズとケチャップ、エバミルク、練乳。
「牛乳ではサラッとするから、少し違う」と田上さん。エバミルクと練乳のW使いで、コクを出していくのですね...!
ぶりんとした海老とふわふわのブロッコリーは、みんなが好きな組み合せですね。
甘酸っぱさのバランスが絶妙で、一個、もう一個...と手が止まらない!途中、思い出したように白飯をかきこみます。
ケチャマヨのはっきりとした甘さや酸味を、W練乳が穏やかにまとめあげます。
ソースはトロッとまろやか。滴るほどたっぷりなのに、少しももたれません。
ちなみにシーフードは夜限定。他にイカの唐揚げ、海老チリ、カニ玉などもあります。
私はもともとランチファンでしたが、ディナーの美味しさに魅了され、取材後も客として夜訪問。
回鍋肉(1,150円)は声が弾けるほど美味しい!くたっと歯応えを絶妙に残したキャベツ、豚肉とピーマンに自家製の甜麺醤が絡みます。
自家製の甜麺醤が美味しさのポイントで、味噌のコクと醤油のキレ、ほんの少しの甘みがバランス抜群!
ランチファンの方ならきっとビックリするのが麻婆豆腐(1,000円)。
ランチの麻婆は独特ですが、ディナーでは伝統的スタイルで登場します。ご飯なしでも進んじゃう程よい辛さで、トロトロあんが優しい味。
お酒のおともに、ライスをつけて夕飯に...
あなたのお好みの食べ方を、ぜひ見つけてみてくださいね。
田上さんはどんな人?
宝龍を支えるのは、3代目の田上靖一さん。
今は接客メインですが、お父様に代わって厨房を引き継ぐことになっています。
田上さんは調理師専門学校を卒業後、かつて新宿にあった銀座四川で修業。
その時点で宝龍は人気でしたが、「外に出ないと分からないから」と外の世界を経験。
「作って出すだけではだめ」という田上さんは、とっても親切な方。
お客様想いの接客は、仕事というより田上さんのお人柄そのものに感じます。
常連さんが新しい家族を連れてきたり、幼かった子が中学生になり急に敬語を使ってきたり(笑)さまざまな人間模様を見てきた田上さん。
将来キッチンに立つ時、やってみたいことは色々あるそうです。
たとえば黒ごま担々麺!これはもう絶対に食べたいですよね。
今の悩みは人手不足。アルバイトさんが入ったら、メニューを拡充したり他店とコラボしたり、宝龍をより発展させたいとのこと。
田上さんは、生まれも育ちも神楽坂。焼鳥やおそば、お寿司など幅広いジャンルに詳しい方。
宝龍で夕食を楽しんで、二軒目に悩んだら、田上さんに聞いてみましょう!
おわりに
今回の取材で感じたのは、とにかく「丁寧」であること。
食材や調味はシンプルで、手間をかけるところはかけ、あとは料理人の感覚でサッと仕上げる。
肉料理には肉の脂をつかって炒めるなど、料理ごとのこだわりが垣間見えました。
ランチでも注文を受けてから作るという、基本的なようで実は難しいことも徹底しています。
宝龍の料理は脂っこくないのが特長ですが、特に油少なめにはしていないそうで、これは意外。
油をしっかり切るなど、一つ一つの処理を丁寧に行うことに秘密があるのだと思います。
取材後も思い出すのは、料理の美味しさと田上さんの穏やかなお人柄。
取材中も「ご飯食べました?」などとお気遣い頂き、さまざまなシェフと親交があるのも人柄ゆえ。
キッチンを担うお父様とお母様も温かい方で、取材なのに和んでしまいました。
宝龍の丁寧で穏やかな料理は、田上さんとご家族そのものを映しているように思います。
2023年、何事もなかったかのように賑わいを取り戻した神楽坂。
青空の下で、しっぽりとディナーで、70年愛される味をぜひお楽しみください。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。