まだ3月ですが、私が今年最もハマりつつある町中華「宝龍」をご紹介させてください。
宝龍は1952年創業、神楽坂の地で70年続く老舗の町中華です。
宝龍の料理を一言で表すと、正統派のまっすぐな美味しさ。
隅々まで施された丁寧な調理は、「あぁこの味」と胸を撫でおろすような安心感があります。
どの料理も脂っこくなく、野菜・肉・味つけそれぞれの旨味が引き立ち合い、「今日も宝龍に行こう」と自ずと思ってしまう魅惑の味。
家族経営の温かい雰囲気も心地よく、私にとって癒しの食事処です。
この記事では、宝龍への行き方、メニュー、食べたもの、混雑具合などを詳しくご紹介していきます。
宝龍はこんな方におすすめ
・神楽坂で70年以上、地域民に愛される町中華に行ってみたい
・料理の隅々まで丁寧な調理がうかがえる、正統派の美味しさを堪能したい
・脂っこくなく、食材の旨味あふれる中華を味わいたい
※情報は2023年3月時点。最新の情報はInstagram等をご参照ください。
私が宝龍にハマる理由
私は胃もたれが怖い年頃ですが、宝龍では脂っこくない丁寧な中華を頂けるので、自ずとリピートしています。
たっぷりの野菜は適量の油分をまとい、炒め具合も素晴らしく、それぞれの食材がもつ風味や食感を楽しめます。
新宿区の地域サイトによると、以前使っていたラード(豚の背脂)を他のものに変えるなど、時代に合わせて調理の工夫をしているそうです。
食べる人のことを考えた細やかな調理が、美味しさや安心感に繋がっているのでしょう。
というわけで「宝龍」は、普段あまり中華を食べない方や、食べるの好きだけど胃もたれが怖い方にも、ぜひ一度行って頂きたいお店なのです。
宝龍への行き方
宝龍の最寄駅は、東京メトロ東西線・神楽坂駅。1aまたは1b出口から徒歩1分です。
神楽坂駅1a出口を出たら右へ進み(1bなら左へ)、神楽坂商店街に出ます。
商店街を直進すると、程なくして左手に宝龍が見えます。目印として、向かいにはスーパーKIMURAYA、喫茶店コパンがあります。
住所 | 東京都新宿区神楽坂6-24 |
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営業時間 | 11:30~14:00 |
17:00~22:00(LO21:30) | |
定休日 | 日曜、祝日 |
電話番号 | 03-3260-8733 |
支払い | ランチは現金かPayPay |
喫煙について:食べログには喫煙可と記載ありますが、ランチは禁煙。
店内の様子
席数はカウンターが2席、テーブルが9卓(18名分)ほど、円卓(5名分)が1つ。
2022年の改装により、青緑やブラウンを基調としたカジュアルな空間となっています。
それでもどこかレトロなのは、あらゆるものが大切に使われ、70の年を重ねてきたからでしょう。
ランチは基本的に相席ですが、正面で向かい合いにはなりません。
仕切り板があるので(円卓には無し)相席でもあまり気になりませんが、気になる方はテイクアウトを利用しても良いでしょう。
メニュー
宝龍では、ランチメニューが大充実。
ランチの多さは、神楽坂の飲食店でもトップクラスかと思います。
お得なセットが4種類、単品料理は35種ほどあり、連日行っても楽しめる内容です。
価格もリーズナブルで、予算1,000円もあれば十分お腹いっぱいになります。
特にランチセットはメインに焼売、炒飯やスープなども付き、この時世では驚異のコスパです。
単品メニューも充実しています。麺は20種以上、ご飯ものは10種以上。
少なめの対応もして頂けるので、たとえば担々麺の少なめ+餃子ライス追加など、自分好みのランチを堪能できます。
ランチ、ディナーともにテイクアウト可能です。
夜になると、ジャンボ焼売の店頭販売もあるので、仕事帰りにサクッと買って帰れます。
食べたもの
ここからは、私が宝龍で食べたもの(ランチ&テイクアウト)をご紹介します。
上海焼きそば
上海焼きそばは、宝龍の定番メニューです。テレビや雑誌でも紹介多数で、ランチでは多くのお客さんが上海焼きそばを食しています。
まず驚くべきは、野菜のボリューム。白菜やキクラゲ、絹さや、もやし、玉ねぎ、ニンジンなど、半日分はありそうな野菜量が嬉しい。
野菜はクタッと炒められ、油分を程よくまとっています。
特にキャベツからジュワッとくる甘さ、焦げ目から立ち上る香ばしさには思わずニンマリ。
麺の一本一本に野菜の炒め汁が絡み、ズズッ!と気持ちよく啜れる快感があります。
喉ごしの秘密は、70年前の創業時から継承される「麺を茹でてさらに炒める」という作り方にあるのかもしれません。
味つけは醤油ベース。このボリュームでも、最後まで少しも飽きない絶妙な濃さとなっています。
塩焼きそばよりは濃く、ソースよりは薄い、アラサーの胃袋を鷲掴みにする味つけでした。
上海焼きそばのボリュームとしては、ランチセットだと適量ですが、単品はかなりボリューミーです(感覚的には袋麺の1.5~2袋分ほどw)。
食べきれるか心配な方は、少なめの注文もできるのでご安心を。
単品の少なめで作って頂いたところ、午後のおやつも楽しめるくらいの適度なボリュームでしたw
五目上海焼きそば
税込1,030円。五目上海焼きそばは、上海焼きそばのグレードアップ版となります。
上海焼きそばは野菜中心(お肉少なめ)ですが、五目上海焼きそばは野菜もお肉もたっぷり。
さらにエビ、イカ、煮卵も入っているので、少なめの注文でも満足の内容でした。
「麺の気分だけど、お腹空いてるからたんぱく質もしっかり摂りたい」という時にぴったりです。
酢豚
ランチセットで税込980円。見た目こそコッテリしていますが(実際濃いめではありますが)、途中で手が止まらないのは、絶妙な塩梅の味つけだからでしょう。
揚げ焼きの豚肩ロースは、カリッとしてジュワッとくる、その旨さが衝撃的。
玉ねぎやピーマンはクタッと炒められ、たっぷりのタレがよく絡みます。
タレは甘みと醤油が強めで、酸味は後からフワッと香る程度。
でしゃばらない酢加減が非常によく、とても食べやすいです。
大きめの豚肉は5~6切れと、程よいボリューム感で、一皿食べきっても胃がもたれません。
白飯またはチャーハンを選べますが、私のおすすめはチャーハンです。もちろん白飯にも合いますが、意外にチャーハンと相性抜群!
チャーハンは適度に油分をまとい、しっとり食感が特徴的。チャーハンの中毒性というよりは、炊込みご飯のような安心感があります。
シンプルな塩味で、ネギの香味や卵の甘さが引き立ちます。脂っこくもないので、濃いめの酢豚と相性ばっちり。
ランチセットのチャーハンは少ないので、たくさん食べたい方は大盛りで頼むと良いでしょう。
さらにランチセットでは、ザーサイ&スープ付という至れり尽くせりの内容です。
私はザーサイが苦手なのですが、宝龍のザーサイは独特のクセがなく、スッキリとした味で美味しく頂けました。
スープは醤油ベースの優しい味で、大切りのワカメとネギが入っています。
どこか醤油ラーメンのスープに近い感じもあり、程よい油分と塩味がお腹を温めてくれます。
ジャンボ焼売
私が宝龍を初めて利用したのは、ジャンボ焼売のテイクアウトです。
夕食を調達するため神楽坂を歩いていたところ、宝龍の店頭販売が目にとまりノリで購入。
このジャンボ焼売が本当に美味しくて、すっかり宝龍ファンになりました。
ジャンボの名前に偽りなく、ドーン!というBGMが聞こえてきそうな迫力満点のボリュームです。
もちっと厚めの皮からは、豚と玉ねぎの甘みが溢れ出し、むちむちと弾力ある肉質がたまらない。
豚を練っているのか、舌に馴染むネットリとした滑らかな食感が独特です。
シンプルな味つけで、焼売のポテンシャルの高さを知ることができます。
個人的には、ごま油の強い香りがないのが非常に好みでした。胃がもたれず、何個でも食べられそうな魔性の美味しさ。
餃子
焼売と同様に、私が断然推したいのが餃子。
表面はこんがりと揚げ焼きで、皮のもちもち食感とのコントラストがたまりません。
驚いたのは、豚挽肉にみっちりとした弾力があること。おそらく、ジャンボ焼売と同じ「もち豚」を使っているのだろうと思います。
一口目はカリッと香ばしく、もちもちの皮からは豚の甘みがジュワーッ。
今まで食べた餃子の三本指には余裕で入る美味しさでした。
餃子といえば、幡ヶ谷の鍋家がNo.1と思っていましたが、神楽坂でも絶品餃子を頂けるなんて。
麻婆豆腐
ランチセットで税込900円。麻婆豆腐といえば、茶色いスープに挽肉と豆腐が浮かぶ、あの姿を想像すると思います。
宝龍の麻婆豆腐は独特で、タレの色は赤く、あんかけのような仕立てになっています。
見たことのない麻婆豆腐に一瞬戸惑いますが、これがクセになる!
最初はマイルドな甘辛で、ケチャップのような甘さも感じるほど食べやすい。
と思った矢先、後からピリリと刺激がやってきました。例えるなら、海老チリのような味わい。
マイルドと辛さの連鎖にすっかり虜になり、箸は止まらなくなります。
タレはあんかけのようになっていますが、とろみ具合が抜群です。
サラッとしていて、全く重たさがなく、スープのように飲めてしまいます。
私は片栗粉のドロドロした食感が苦手なので、宝龍のとろみ具合はかなり好みでした。
こんがり揚がった豆腐とモヤシが、タレを吸い上げボリューム満点。
豚ロースの薄切りも入っていますが、やや少なめなので、お肉気分ならジャンボ焼売や焼豚を追加すると良いかもしれません。
タンメン
この日は単品メニューから、タンメン(税込800円)を頂きました。
ぽってりとした塩スープにちぢれ麺、焼野菜が浮かびます。まさに正統派、食べる前から美味しいビジュアルです。
野菜は数えるのが難しいほどテンコ盛り。きくらげにキャベツ、白菜、人参、もやしなどが入っています。
どの野菜もクタッと炒められ、白菜や人参から出る濃い甘さに心がホッと安らぎます。
所々の焦げ目からフワッとくる香ばしさも食欲を引き立て、箸はどんどん加速。
スープは程よい塩味で、たっぷりの野菜の旨味を吸収し、奥ゆきのある味わい。途中、卓上のラー油や黒こしょうで味変も楽しめます。
豚バラそば
税込1,200円。中華麺に豚バラ煮込みとそのタレ、青菜をあしらった一品です。
つややかな茶色いスープは、醤油の立ちすぎないマイルドな味つけ。口当たりは重厚で、満足感はあるのに少しももたれません。
スープには豚バラの丸い甘さが溶け出し、ネギの爽快感も後を追い、どんどん飲めてしまいます。
豚バラは大きめが2枚入り。端から端までトロットロ、脂身さえ美味しい。
八角のような香辛料がほんのり漂い、どことなくルーロー(ハン)のような甘辛さを感じます。
個人的には、白米のほうがより合いそうと思ったので、次回は豚バラ丼(1,200円)に挑戦してみたいと思います。
坦々麺
担々麺は単品1,000円。お店のInstagramによると、なんと甜麺醤も自家製とのことで、細部にまでこだわりを感じます。
宝龍の担々麺は、辛すぎないのが特徴です。
後からピリッときますが、食材の旨みをしっかり感じ取れる、絶妙な刺激具合となっています。
一口目は、ゴマの香るマイルドな味わい。
辛くない!と思いきや、後から辛さがピリリとやってきて、脳がジワジワと熱くなります。
優しさと刺激が両立する味つけは、まさに中毒的で、スープを飲む手が止まりません。
シャキシャキの水菜ともやし、やや塊状の豚挽肉が、食感や風味のアクセントを加えてくれます。
担々麺は、週替わりのランチセットにも時折登場します。ランチセットは単品よりお得なので、お見逃しなく!
単品のフルサイズはかなりボリューミーですが、ランチセットだと少なめ(感覚的には単品の2/3くらい)で、少食さんにはちょうど良いかもしれません。
杏仁豆腐
杏仁豆腐は単品280円。ランチセットにはデフォルトで付きます。
手作りの優しい味、牛乳のきいた自然な甘さで、食後の口を彩るには最高のデザートです。
甘みと酸味のバランスがよく、ヨーグルトのようにスッキリと頂けます。
ちょんと添えられたレモンのアクセントも良いですね。
食感はぷるんと柔らかく、ツルッとした喉ごしで、満腹でもスルスルと胃に入っていきます。
混雑具合
平日ランチは常にお客さんが入っていて、特に12:00以降は満席のこともしばしば。
私はいつもラスト1~2席に滑りこんでいます。
満席でも、お一人様が多く回転は早いので、少し待てば入れそうな印象です。
ゆっくり過ごすなら、土曜のほうが良いかもしれません。
土曜12:30に行った際、平日のその時間はいつも混雑していますが、半分ほど空席でした。
料理をじっくり味わえるという点で、土曜はより満足度が高いと感じています。
まとめ
宝龍では、正統派のまっすぐな美味しさ光る、王道中華を味わえます。
料理の隅々に、お客のことを考えた丁寧な調理が垣間見え、食材それぞれの異なる風味が引きたちます。
町中華という一言では片づけられない、細部にまでこだわりを感じるお店です。
また料理が脂っこくない点も、私がリピートしている理由の一つ。
実際女性やご年配のお客さんも多いことは、脂控えめ・旨味たっぷりという事実を裏付けているでしょう。
高齢の父は、上海焼きそばをペロリと完食し「もっと食べられそうだ^^」とも言っていましたw
宝龍は美味しい料理と温かなサービスで、70年もの間、神楽坂の人々の胸を打ってきた町中華。
フラッと入れば、丁寧な正しき中華料理に心がホッと安らぎます。
明日のランチにぜひ。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。